研究概要 |
瞬時電圧低下(瞬低)問題は先進国共通の問題であり,今後大量に系統連系される太陽光発電インバータが瞬低で一斉に停止した場合大きな影響が予想される.すでに200Vラインを抵抗と半導体スイッチを介して中性点に接続し,抵抗値と半導体スイッチの点弧タイミングを調整することで種々の瞬低波形を発生させ,瞬低によりインバータが停止するが,それは制御回路の誤動作や過電流過電圧というようなインバータ装置自体に起因するものではなく単独運転防止という系統保護のためであることは明らかにされている. しかし上述の瞬低電圧発生方式では,瞬低中系統に抵抗が挿入された状態になるので系統の特性が実際とは異なること,半導体スイッチの開閉だけでは,実際の系統の瞬低波形のような複雑な波形は再現できないという問題があった.この問題を解決するため,系統電圧を模擬した信号発生回路と線形電力アンプで3相200V系統で発生する瞬低電圧波形を精密に模擬して実験をすることが本研究の目的である. 平成20年度は線形電力アンプ2台を導入しその特性を評価し,さらに実測データによる瞬低波形発生装置を開発した.導入した線形電力アンプは7500Hz程度までは線形性が保証でき周波数60Hz出力電圧100〜200Vで約350Wの電力を吸収できることが確認できた.また,実測データを用いた瞬低波形や,従来の研究で用いた瞬低の深さ,継続時間,発生位相,および位相跳躍量をコントロールした瞬低波形のデータをリアルタイムで出力できるプログラムをPC上に開発しPCに接続するD/A変換ボードを導入して,この瞬低波形のデータをアナログ信号として出力できるようにした.このアナログ信号を前述の線形電力アンプの入力信号とすることで200Vラインの瞬低電圧波形を発生させることができた.成果を平成21年電気学会全国大会で発表した.
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