研究概要 |
瞬時電圧低下(瞬低)問題は先進国共通の問題であり,今後大量に系統連系される太陽光発電インバータが瞬低で一斉に停止した場合大きな影響が予想される.平成19年度に完了した科研費研究で,瞬低によりインバータが停止する原因は制御回路の誤動作や過電流過電圧というようなインバータ装置自体に起因するものだけでなく,単独運転防止という系統保護のためであることが多いことを明らかにしている. しかし同研究で用いた瞬低電圧発生方式では,実際の系統の瞬低波形のような複雑な波形は再現できないという問題があった.この問題を解決するため,系統電圧を模擬した信号発生回路と線形電力アンプで3相200V系統の瞬低波形を精密に再現する装置を開発し実験をすることが本研究の目的である. 平成20年度は線形電力アンプ2台を導入しその特性を評価した.また,実測データを用いた瞬低波形をリアルタイムで出力できるプログラムをPC上に試作した. 平成21年度は多機能安定化電源をもう1台加えて3相電源を構成し,3相瞬低発生模擬電源を完成させた.この装置に太陽光発電系統連系模擬装置のインバータを接続して実験したところ,定常状態でインバータが停止する現象が発生したので原因を解明し,原因であったPCの割り込み処理による位相シフトをPCのクロックタイマで解決し電気学会で発表した.また,実測瞬低データによる実験も実施し,系統インピーダンスなどの影響を分析しパワーエレクトロニクス学会で発表した.
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