研究概要 |
本研究は.プラズモン・アシスト磁性構造体を開発し,その材料・構造・スピン依存性,線形と非線形の光学および磁気光学特性を解明するものである.そしてスピン制御が可能な新規の光・電子材料を創製し,マイクロ光磁気デバイスおよび電子デバイスへの応用の可能性を探求する.以下にH20年度の成果を述べる. 1. Auナノ粒子のサイズ制御と磁気光学効果:Au薄膜を加熱してAuナノ粒子を作製するとき,Auの膜厚と加熱温度によって,粒子の平均直径を制御できることが分かった.5nmのAu薄膜を1000℃で加熱したとき,平均直径60nmの粒子が得られた.磁性ガーネット(Bi:YIG)薄膜を用いて複合化したとき,表面プラズモン共鳴が645nmで発生し,そのファラデー回転角は-0.14°まで増大した.これはBi:YIG単層膜の回転角の4.4倍の大きさである. 2. 繰返し形成法によるAuナノ粒子形成とBi:YIGとの複合膜作製:Auナノ粒子の密度を高めるため,繰返して形成するプロセスを用いた.5nmのAu薄膜を1000℃で加熱するプロセスを5回繰返したとき,そのナノ粒子を用いたBi:YIGとの複合膜では,ファラデー回転を0.94°まで増大させることができた.これはBi:YIG単層膜の15倍の大きさである. 3. 2次元Niドット周期構造体:430nmの周期で三角格子状に配列したNiドット構造体では,光の入射角と方位角によって,伝播型プラズモン共鳴の波長を変えることができ,このプラズモン共鳴波長でカー回転角の増大が観察された.この試料では,3方向のドット列によってプラズモン共鳴が起こるが,方位角を変えることで,2つの共鳴波長を一致させることができ,その波長ではカー回転角が大きくなることが明らかになった.
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