研究概要 |
本研究は,金ナノ粒子および回折格子によって発生するプラズモン共鳴を利用して磁気光学(MO)効果の増大が得られる新規の材料を開発し,プラズモン共鳴を利用した新規デバイス開発の可能性を探査することが目的である、以下はH22年度の成果である. (1)ランダムに配置した貴金属粒子/磁性ガーネット複合膜におけるMO効果の増大 Au粒子と磁性ガーネット(Bi : YIG)との複合膜で,さらに大きなMO効果を得るため,Au薄膜を加熱して粒子化した後に続けてAu成膜と加熱を行う,繰返し形成法を用いて,数密度を制御したAu粒子を作製した.繰り返し回数と形成されるAu粒子の数密度の関係,Au薄膜の厚さによるAu粒子の分布に違いを調べ,粒子の分布と光学および磁気光学効果の関係を明らかにした.またAgおよびAg-Au合金粒子とBi : YIGとの複合膜を作製し,光学および磁気光学応答を明らかにした. (2) 周期的に配列したAu粒子によるMO効果の増大 周期的に配置したAu粒子とBi : YIGとの複合膜では,プラズモン共鳴が複数の粒子の間で起こるプラズモンのカップリングにより,共鳴波長が長波長側にシフトし,その共鳴波長でMO効果が増加することを明らかにした. (3) 近接場光学顕微鏡(SNOM)の開発 昨年に引き続き,Au粒子周辺の微小領域で光学的情報を得ることができる近接場光学顕微鏡(SNOM)の開発を進めた.この装置は,チューニングフォーク(水晶振動子)が付いた近接場光プローブを用い,シアーフォース方式によってプローブと試料間の距離を制御するものである.このSNOMを用いて,CDのALドットパターンの観察を行い,構造と近接場光の情報を得ることができることを確認した.装置について様々な改良を行った結果,安定して観察が行えるようになり,今後共同研究を行った片山電子(株)から製品化が予定されている.
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