研究課題/領域番号 |
20560299
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
山下 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40263230)
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研究分担者 |
藤田 孝之 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (50336830)
野田 実 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20294168)
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キーワード | 圧電体 / 強誘電体 / 分極 / MEMS / 共振 |
研究概要 |
本年度は、圧電ダイアフラム構造の応力印加電極面積に対する共振周波数変化率の挙動と、共振周波数を動的に変化させることによるアレイセンサの指向性合成について研究を行った。電極面積に対する挙動については、個々の素子について応力印加電極を複数部分に分割し、電圧を印加する電極の組み合わせを選択することにより一つの素子においての応力印加面積を可変にできる構造とした。これにより、素子間のばらつきの影響を受けず共振周波数変化率を評価することが可能となった。ダイアフラム面積に対する応力印加電極面積の比率が10%から90%の範囲内で、周波数変化率がほぼ電極面積に比例することが示された。またこの測定の過程において、静的撓みを持つダイアフラムの撓み方向を応力印加により反転できる可能性が見出された。特に、単に大面積に応力を印加するだけでは撓みの反転は生じず、中央付近の電極のみに電圧印加することで撓み反転できることが分かった。これより、ダイアフラムの固定端付近に面内圧縮応力を残した状態で中央付近に面内引っ張り応力を生じることが撓み反転に必要であることが示唆される。先行研究によりダイアフラムの撓み方向が振動型圧電ダイアフラムセンサの感度に大きく影響を与えることが示されているが、本手法により、非常に簡便に、ダイアフラムの破損の危惧無く感度向上することが可能となった。アレイセンサの指向性合成については、周波数を動的に変化させて、同一のアレイにおいて複数の周波数を用いて計測を行った結果から高分解能とゴースト低減が可能であることを見出した。具体的な例では、素子間周期が一波長に等しい周波数と、これより低い周波数の組み合わせにより計測を行う場合、周波数比を0.57とすることで角度分解能を保ったままゴーストを1/10以下に低減できる。実際に作製したセンサにおいて、印加電圧8Vでこの周波数比を実現することができた。
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