研究概要 |
量子化学計算を行うためには、対象となるGeのモデルを構築する必要がある。計算精度を上げるためにはできるだけ大きなクラスターが必要であるが、多くの構造を計算するため1日程度で計算を終了できるサイズを目安としGe原子100個程度からなるクラスターを構築した。また計算のモデルに合わせて2次元の周期境界条件を設定した。このクラスターを結合距離や回転角など構造最適化しGe-Ge結合距離を計算したところ246pmとほぼ実験と同じ値となり正確に構築することができたと考えられる。次に、Geクラスター表面に原子を反応させ安定構造を計算した。Siで一般的に用いられるHに加えF,N,O,C,Bなど網羅的にさまざまな元素をGe表面クラスターに配置し、それらの構造について安定性、結合エネルギーを計算した。この結果、Siと異なりGe表面はHにより安定化できないことが分かった。逆にFは表面のGe原子との結合が非常に強く、表面を安定化させることが分かった。CやBも比較的表面を安定化させるが、ボンドが多いため欠陥を作ってしまう可能性がある。さらに、これらの修飾された表面と酸素との反応性について調べ表面を不活性化できるものについて探索をおこなったところ、Hは酸素と反応し表面から離脱してしまうが、Fは離脱することなくまた酸素原子を反応させた場合Geのバックボンドへ入り込んでいくことが分かった。これらの結果より、F表面処理は非常に有効であることが分かった。実際の実験結果においてもHigh-kゲートスタックを作る前にフッ素処理をすることで界面準位を低減できることが分かり、性能向上に役立つことを示した。
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