量子化学計算を行うためには、対象となるGeのモデルの構築が重要である。計算精度を上げるためには、できるだけ大きなクラスターが必要であるが、多くの構造を計算するため1日程度で計算を終了できるサイズを目安としGe原子100個程度からなる(100)および(111)表面クラスターを構築した。また計算のモデルに合わせて2次元の周期境界条件を設定した。次にGe(100)およびGe(111)クラスター表面に網羅的に多種の原子を反応させ安定構造を計算した。この結果、Siと異なりGe表面はHにより安定化できず、Fは表面のGe原子との結合が非常に強く、さらに、CやB、Sも比較的表面を安定化させることがわかった。また、(100)表面と(111)表面の間に違いが見られ、特にSは(111)表面でより効果的であることが分かった。これらの結果より、F表面処理は非常に有効であることが分かった。また、Sによる安定化の可能性も示せた。そこで、次に溶液処理によりS表面修飾が出来ないか調べた。その結果、硫化アンモニウムに浸漬することで表面を硫化することができることが示された。そこで、S表面処理をおこないその後、光MOCVDによりHfO_2薄膜を堆積し、界面状態を調べた。その結果、界面準位が処理をしていないものよりも小さくなり、簡便な溶液処理により界面特性を向上させることが出来た。またGe(111)およびGe(100)ともに表面にSが吸着し、HfO_2膜の製膜後も界面に存在していることを示した。これらの結果から、ショットキーMISFETを作製し、その移動度を調べたところ、処理なしのものに比べて向上することが確認でき、表面処理効果の有効性を示すことができた。
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