本研究は、ナノインプリント技術を窒化物半導体に適用し、表面周期構造を利用した発光デバイスの高性能化を目指すものである。前年度の結果をもとに、表面微細構造を有する発光ダイオードの特性について調査した。実際に、ナノインプリント法、反応性イオンエッチング法およびリソグラフィー技術により窒化物発光ダイオードの活性層を越えた凹凸構造を有するLEDを作製し、その光および電気特性評価を行った。構造作製により、光出力の増加を確認し、ナノインプリント法によるLED表面凹凸加工がLED高性能化に寄与することを示した。また、n型窒化ガリウム上にナノインプリント法により周期的凹凸加工された表面へのp型窒化ガリウムの最成長について調査した。容量-電圧測定によりキャリヤ密度評価した結果、10^<18>cm^<-3>という大きな値を示した。これは、凹凸加工により生じたc軸から傾いた傾斜面のダングリングボンドの影響と思われ、本手法を用いたGaNナノプロセス試料は、デバイス作製には適さず、n-nおよびp-p型が有望である可能性を示している。表面周期構造を有する窒化物光検出器についても検討した。通常の検出器は、光強度を電圧あるいは電流により検出するが、この場合、光の入射角度に対しては敏感ではない。ナノインプリント法により表面周期加工した試料に対し、入射角度および波長に対する光電圧の関係を明らかにし、多くの分野で利用できることを示した。
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