研究概要 |
本年度は,前年度の予備的検討に基づき引き続き高分子材料と高エネルギー粒子線の相互作用に関する荷電粒子,電磁界,物質内のエネルギー輸送に関する練成シミュレーションコードの開発を行った.また実際の電子線照射実験を開発したシミュレーションコードを用いて計算機で再現を行うことを検討した.さらに電子線照射以外の陽子線照射とそれに伴う材料内での陽子の振る舞いを検討した.これにより,絶縁材料に荷電粒子が入射した時の材料への影響をより幅広く検討できるシミュレーションコードへの発展が期待できる.さらに前年度考案した感温液晶マイクロカプセルに関する精度の良い色温度校正法を利用して,電子線照射実験における熱輸送に関して実験によるデータを収集し,実験データから材料内の熱輸送に関して定量的な評価と熱輸送についてのメカニズムについてそのモデルを構築した.前年度に引き続き電界強度のマイクロ化された液晶カプセルによる電界分布の検出可能性を検討した また,シミュレーション結果,測定結果を比較し,電子線の材料内での蓄積のメカニズム,電子線照射による材料内の熱輸送メカニズムに関する考察を行った.その結果入射の1次粒子は主に電荷の蓄積に寄与し,1次粒子による反跳粒子は主に熱の輸送に寄与していることが予測された.この結果は絶縁体内に相対論的エネルギーを持つ電子が入射した時の物理過程に関して新たな知見を与える重要なものであると考えられる
|