研究概要 |
日本で発明されたパルス静電応力(PEA)法の利点を活かし,短時間間隔で測定可能な3次元的空間電荷分布測定装置を海外に先駆けて実現することは,PEA法の応用範囲を広げこの分野の日本の工業技術の発展に貢献に繋がると考えている。 申請者の期間中の装置開発の具体的な開発目標は“測定試料の厚さ方向(Z方向数ミリメートルの範囲)と試料の横方向(x-y方向30×30mmの範囲)の面の測定範囲を10×10(=100)分割し,数十ミリ秒間隔で空間電荷分布を測定できることである。これにより“絶縁材料内部の電荷の動きを顕微鏡のように見て記録する装置の実用化の可能性を実証すること"である。目標値を実現するために圧電センサの電極構造をマトリックス状にすることで,電極のx方向の10chとy方向の10chの接続切り替えた100センサにより3次元測定を行う方法を検討している。 昨年度は,この方法における要素技術として数100MHz,数マイクロボルトの広帯域で微弱な圧電センサ信号を切り替える機能を有するマトリックススイッチを試作した。GaAs系半導体スイッチを利用して,1×10スイッチとPICマイコンを利用したコントローラを試作し,10個のラインセンサを有する2次元空間電荷分布測定装置を試作評価した。挿入損失0.5-0.9dBで,サブミリ秒間隔で空間電荷信号が切り替えが可能であることを実験的に確認した。 この要素技術を多チャンネルに展開し,計画の短時間間隔で測定可能な3次元的空間電荷分布測定装置の実証が可能となったと考えている。
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