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2010 年度 実績報告書

化学溶液処理によるPIT法MgB_2超伝導線材の高性能化

研究課題

研究課題/領域番号 20560312
研究機関独立行政法人物質・材料研究機構

研究代表者

藤井 宏樹  独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主幹研究員 (80354306)

キーワード二硼化マグネシウム / 超伝導線材 / 結晶粒間結合 / 溶液処理 / 炭素置換 / パウダー・イン・チューブ法
研究概要

研究の目的はパウダー・イン・チューブ(PIT)法で作製したMgB_2線材の臨界電流密度(Jc)特性の向上である。PIT法は、金属管に粉末を充填して線材形状に加工する手法であるが、MgB_2粉を充填するex situ法と、MgB_2の原料粉、例えばMgとBの混合粉を充填するin situ法とがある。どちらも充填粉の品質がJc特性に大きな影響を及ぼす。ex situ法では、有機酸溶液中で処理した、活性なMgB_2粉末を用いて線材を作製すると、Jc特性が改善されることをこれまでに報告した。前年度までシース材として、Mgと反応せず、安価なFeを用いていたが、シース/MgB_2界面に反応層Fe_2Bが生成した。そこで本年度は、シース材との反応を抑制するため、Feの代わりにTaを用い、この溶液処理法がどの程度までJc特性改善に有効かを明らかにすることを目的とした。一方、in situ法用充填粉末については、Mg-B(-C-H)系の前駆体粉末を溶液プロセスによって作製し、その熱分解や結晶化から活性なMgB_2の生成を目指した。
研究結果として、ex situプロセスでは、MgB_2粉の処理、未処理に関わらず、TaシースではFeと同様、加工後のMgB_2コア層の組織は均質であった。しかし、加熱処理により、FeシースではMgB_2の焼結により、Jc特性が大幅に改善されるのに対して、Taシースでは大幅に低下した。Taシース線材のMgB_2コア層には、横手方向に多くの亀裂が入っていることが、組織観察から明らかとなった。これらは超伝導電流パスの障害となり、ex situ法ではTaシースは不適であるものと考えられる。
一方、in situプロセスでは、Mg-B(-C-H)系化合物の一つとして、MgCl_2とNaBH_4とのメカノケミカル反応からMg(BH_4)_2を作製し、Arガス雰囲気中の加熱分解により、MgB_2がほぼ単相で得られることを確認した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Detrimental Effects Depending on the Sheath Materials in Ex Situ Processed Heat Treated MgB_2 Wires and Tapes2011

    • 著者名/発表者名
      H.Fujii, K.Togano, K.Ozawa, H.Kumakura
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Applied Superconductivity (ASC'10)

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 有機酸溶液処理を施したMgB_2粉を用いて作製したex situ法線材における炭素置換と超伝導特性2011

    • 著者名/発表者名
      藤井宏樹
    • 雑誌名

      低温工学

      巻: 46 ページ: 2-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Critical temperature and carbon substitution in MgB_2 prepared through the decomposition of Mg(BH_4)_22010

    • 著者名/発表者名
      H.Fujii, K.Ozawa
    • 雑誌名

      Supercond.Sci.Technol.

      巻: 23 ページ: 125012(1)-125012(5)

    • 査読あり
  • [学会発表] Mg(BH_4)_2の熱分解によるMgB_2の作製2010

    • 著者名/発表者名
      藤井宏樹、小澤清、熊倉浩明
    • 学会等名
      2010年秋季低温工学・超伝導学会
    • 発表場所
      かごしま県民交流センター(鹿児島県)
    • 年月日
      2010-12-02
  • [学会発表] Mg-B-H(-C-O)系前駆体の熱分解によるMgB_2の作製2010

    • 著者名/発表者名
      藤井宏樹、熊倉浩明、小澤清
    • 学会等名
      2010年日本金属学会秋期大会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      2010-09-25
  • [学会発表] Improved critical current densities in ex-situ processed MgB_2 tapes sheathed with various metals using powders treated in organic acid solutions2010

    • 著者名/発表者名
      H.Fujii, K.Ozawa, H.Kumakura
    • 学会等名
      2010 Applied Superconductivity Conference
    • 発表場所
      The Omni Shoreham Hotel(米国)
    • 年月日
      2010-08-04

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公開日: 2012-07-19  

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