光デバイスの高性能化を目指して、新しい光デバイスの研究開発が活発に行われている。フォトニック結晶は特異な光学特性を有することから注目され盛んに研究されている。また、このフォトニック結晶を磁性材料で構成した磁性フォトニック結晶は新たなデバイスの可能性をさらに広げるものと期待されている。これまでに完全フォトニックバンドギャップを実現できる結晶構造とそれを利用したフォトニック結晶導波路の設計、さらにはこの導波路を利用した偏波分離デバイスの提案を行ってきた。しかしながら、さらに高性能な光デバイスを探索する際には、既存の設計理論に頼っていては新しい発想のデバイスを考案することは難しい。本研究では、磁性フォトニック結晶デバイスの設計を目的として、デバイス構造の自動最適化手法としてトポロジー最適化、遺伝的アルゴリズムについて検討を行った。ここでは磁性フォトニック結晶に限らずより汎用的な光デバイスの設計を考え、最適化手法の開発を行った。具体的には、ある関数の等高線として設計領域の媒質境界を定義し、この関数を変化させることで設計領域内の屈折率分布を更新する。ここでは、この関数としてフーリエ級数展開を用い、まず遺伝的アルゴリズムを用いて大域的な構造の最適化を行い、続いて感度計算に基づくトポロジー最適化により最終的な構造を見出す方法を提案している。これにより通常のトポロジー最適化でしばしば問題となる局所的最適解へおちいる問題、材料境界がぼやけるグレイ領域の問題を回避している。この手法を用いることで、局所的にフォトニック結晶を用いた構造で小型の波長分離素子を実現できる構造を見出している。
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