磁性フォトニック結晶デバイスの可能性を追究するため、これまで等方性材料からなる光導波路デバイスにおいてその有効性を確認してきた自動最適設計法のひとつであるトポロジー最適化を、磁性材料にも適用できるようにするため新たに定式化を行い、磁性フォトニック結晶光サーキュレータの最適設計を行った。従来よく用いられてきた密度法に基づくトポロジー最適化では実際には利用できない中間的な材料が現れることが問題となるため、本研究では申請者が前年度までに開発を行ってきた関数展開法に基づくトポロジー最適化を用い、フォトニック結晶の最適化に対応するため、新たに円錐型の展開関数も提案した。これまでの関数展開法ではフーリエ級数を用いていたため、問題によっては最終的に得られる構造が複雑化する場合もあったが、新たな方法では円形空孔のみで目的の構造を表現することができ、フォトニック結晶デバイスの設計との親和性が高い。最適化の初期構造としては均一に空孔を配した構造を用いたが、共振を利用した小型な構造を自動的に導くことができた。また、最適設計も含めてここまでは2次元近似に基づく解析・設計を行ってきたが、より実際に近いモデルでの設計を行うため、エッジ要素に基づく3次元ベクトル有限要素法と関数展開法に基づくトポロジー最適化を組み合わせた、3次元光導波路デバイスの自動最適設計の定式化とプログラムの開発を行った。ここでは作製の容易さを考慮して、面内方向と深さ方向の構造を定義する関数を独立に設定することにした。まず基本的な設計例として低損失で小型な2分岐および3分岐光導波路の最適設計を行い、空気と誘電体からなる非常に比屈折率差の大きな場合も含めて3次元光導波路デバイスに対する自動最適設計の有効性を確かめた。
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