研究課題
近年、量子閉じ込め効果を利用したSi系発光材料に関する数多くの報告がなされている。その一種であるナノ結晶Siは、SiとSiO_2の同時もしくは交互スパッタリングやSiO_2媒質へのSiイオン注入等の手法により作製されている。今回、我々は、溶融石英(SiO_2)基板への適切なSiイオン照射及び1100℃以上のアニールによって、紫外域(波長370nm付近)に発光ピークが発現することを見出した。溶融SiO_2基板へのSiイオン注入は、日本原子力研究開発機構イオン照射研究施設内の400kVイオン注入装置を用いて行った。Siイオン照射条件は、エネルギー80keV、照射量2×10^<17>ions/cm^2とし、室温で照射を行った。注入後、3試料を1100℃、1200℃、1250℃でアニールした。アニール時間はいずれも25分間とした。その後、その3つの試料の室温におけるフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを測定した。励起光源としてHe-Cdレーザ(波長325nm)を使用した。その結果、アニール温度によらず、波長370nm付近をピークとする紫外発光ピークが観測された。そのピーク強度は、アニール温度1250℃で最大となった。アニール温度1100℃の試料からは、波長800nm付近をピークとする赤色から近赤外域にかけての長波長側の発光も観測されているが、アニール温度1200℃、1250℃の試料からは、この発光は見られなかった。この試料は、新たな紫外発光材料・基板としての応用が大いに期待できる。更に、作製条件の最適化を更に進めることによって、ピーク強度の更なる向上の可能性もある。紫外発光は、高密度光ディスク用光源としての応用などか考えられるため、今後、光利得の評価も進めていく予定である。
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