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ナノ結晶シリコン(nc-Si)の発光特性の向上と高機能化を目的として、発光波長制御、エネルギー伝達効果の検証、発光の短波長化、光電子機能発現、に関する検討を行い、以下の知見を得た。
(1)高効率・高安定発光材料の開発
赤色帯発光の高効率化・安定化に対して有効性が確認されている高圧水蒸気アニール(HWA)を積極的に生かし、熱酸化との組み合わせなどにより発光波長の制御を試みた。その結果、PL発光スペクトルが赤色と青色の二成分からなる試料が得られ、プロセス条件によっては青色帯単独の安定な発光を実現できることがわかった。赤色と青色の発光特性を温度依存性、発光ダイナミクス、励起光の偏光メモリ性などの点からくわしく解析し、発光起源の違いを明らかにした。良質な表面酸化を施した試料についてパルス光励起による測定を行い、青色発光の寿命が従来のナノ〜ミリ秒ではなく、数秒以上に及ぶことを見いだした。また表面修飾処理により多層膜DBRミラー装荷光共振器の長期安定性を飛躍的に改善した。発光に関連する光電子機能についてデバイス応用の観点から解析し、nc-Siに特有の応用可能性を示した。
(2)色素や希土類元素とのハイブリッドによる発光特性
色素分子や希土類イオン種をnc-Siに導入したコンポジット材料を作製し、バンドギャップが拡大したnc-Siの光励起エネルギー転移が導入分子・イオン種の発光強度にどう影響するかを解析した。励起光の偏光メモリ特性測定により、試料内でエネルギー伝達が生じていることを示唆するデータを得た。
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