研究課題
1.LSIパッケージ集積化磁気デバイスの試作と評価 チップサイズパッケージRF-IC用磁性薄膜インダクタのさらなる高Q化を目指し、磁性薄膜面内うず電流を抑制する4種類の薄膜分割構造を検討し、コイル導体ライン方向スリットによる形状磁気異方性によって強磁性共鳴周波数が高周波化し、併せて高周波銅損を抑制するコイル導体分割構造によってQの最大値を従来の試作例を大幅に超える18にまで高めることに成功した。また、磁性薄膜のインダクタ近傍配線クロストークの抑制効果を調べる目的で、インダクタと同一面にある近傍配線の面内クロストーク、インダクタ下部配線の層間クロストーク検証用TEG(Test Element Group)を試作し、いずれに対しても磁性薄膜の導入によってクロストークが抑制されることが実証された。さらには、LSIパッケージ内蔵DC-DCコンバータの実現を目的として、Fe系アモルファス磁性微粒子/ポリイミド複合材料厚膜磁心を用いたサブmm角100MHz帯用プレーナインダクタを試作し、10nHのインダクタンス、20を越えるQ値、2A以上の直流重畳電流を実現した。これらの成果は、新技術をLSIに導入して高機能化を目指すMore than Mooreの基盤技術になりうるものと期待されるとともに、複数の超小型電源を集積してマイクロスマートグリッドを実現する超低消費電力グリーンLSIの実現にも資するものと考えられる。2.携帯電話のマルチ無線化に対応したチューナブルインダクタの基礎検討 永久磁石膜/軟磁性薄膜積層構造と永久磁石膜パルス電流着磁コイルを用い、パルス電流着磁した永久磁石膜の直流バイアス磁界によって軟磁性薄膜の磁化困難軸方向透磁率を可変する新規の方法を提案し、FeSiO/SmFeCo積層膜による実験的検証を行った。着磁パルス電流の大きさを変えることで永久磁石膜の残留磁化を調整し、これにより軟磁性薄膜の透磁率を可変できる。パルス電流による着磁エネルギーはわずかであるとともに、着磁後はゼロ電流状態でも自己保持できる利点がある。
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電気学会論文誌(基礎・材料・共通部門誌)
巻: 131(2011年7月号掲載決定)
IEEE Transactions on Magnetics
巻: Vol.47(2011年11月号に掲載予定)
http://amdl.shinshu-u.ac.jp/