近年、乳がん患者が急激に増加している。また、乳がん患者の死亡率は年々増加しており、今後その傾向が続くことが懸念されている。しかし、乳がんは早期発見早期治療により完治率の高いがんでもある。現在、乳がん検診の方法は主にX線マンモグラフィが用いられている。しかし、正常な胸部組織と種瘍とのコントラストが小さいことに起因する偽陰性と偽陽性に関する報告されている。一方、周期構造が独特な電磁特性を持ち、うまく利用すれば、高性能なデバイスが期待されている。本研究では、不均一な複数金属体で構成した電磁結晶を用いて、新しいマイクロ波CTシステムを研究し、その有用性は明らかにした。 電磁結晶は誘電体と金属体の周期構造で構成されている。特定な周波数帯域に完全反射起きるバンドギャップ特性を持ち、更に、実効誘電率や実効透磁率が同時に負になる特性も表れることを明らかに、これらの特性を電子回路に利用すれば、高性能を持つ新しいデイバスや回路ができる。Agilent社のADSツールと3D電磁界シミュレーターのHFSSを利用し、損失の小さいインダクターが可能であることを分かった。または、乳がんマイクロ波CTシステムについて、理論的な研究にでは、小型・広帯域なアンテナを利用すれば、非常に時間をかかる計算を持たなくても、種瘍と正常な胸部組織を区別することができることが分かった。さらに、本CTシステムのために5:1の小型・広帯域なアンテナを設計開発した。本マイクロ波CTシステムのために、設計した回路をCadenceの設計ツールを利用し、0.18COMSプロセスのレイアウトも作成し、設計通りに実現可能であることを確認した。次年度、この回路をICに加工し、特性測定を行う予定である。
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