研究課題/領域番号 |
20560330
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
能勢 敏明 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (00180745)
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研究分担者 |
本間 道則 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (90325944)
伊東 良太 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助手 (20433146)
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キーワード | 液晶 / ミリ波 / マイクロ波 / 位相変調器 / 屈折率測定 / CPW基板 |
研究概要 |
全ての電極が一平面上にあるCPW基板は、液晶素子等を高周波回路に容易に組み込む事ができ、集積化の点で有用である。このような特徴を生かして液晶を用いた位相変調器の実現を目指した取り組みを行ってきたが、液晶駆動用の電極および基板の損失等によって動作周波数が30GHz程度までに制限されていた。昨年度、基板自体の低誘電率化を目指して素子設計を見直す事により良好な特性が得られる可能性を見出した。本年度は、実際に新しい設計指針に基づく液晶位相変調器を試作しその評価を行った。その結果、これまで動作が確認されていなかった50GHz程度まで良好な位相変調特性が得られた。低周波領域における変化量は、これまで最も大きな可変量が得られているパターン電極の導入による共振特性を利用したものと同程度であるが、損失の大幅な低下によって高い周波数領域において大幅な改善効果が得られた。しかも、共振効果などを利用したものではないため、上限の周波数領域まで直線的な変化特性が得られる使い易いデバイスが実現された。一方、CPW上にセル構造を構成する本手法の特徴を利用して、材料センシングに用いる可能性を検討した。ミリ波帯のような高い周波数領域で液晶位相変調器を実現するためには液晶材料評価法も重要であるが、従来は導波管を利用した比較的多量の測定試料を必要とする手法が用いられてきた。本研究で提案している高周波回路を用いたセル構造を利用する事により格段に少ない試料で測定が可能になる事を示した。現時点では材料の絶対値を正確に求めるためのキャリブレーション法の開発が重要な課題として残されているが、今後この手法を実用するための有用な知見が得られた。
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