研究概要 |
1. 液晶および配向膜材料の改良: 前年に引き続き液晶組成および配向膜の最適化検討を実施した。更に,本研究にもとづく液晶配向性の解析から,カラム型液晶材料,ランダム配向膜などの新たな分野の研究開発に結び付く知見が得られた。いずれも光通信素子のみならず新規なディスプレイや光素子の広範な分野に活用できることが期待できるため予備実験を行った。 2. ネマチック液晶新規記録方法の検討および3.連続記録素子の適用検討: ネマチック液晶の電場変化直後に生じる光散乱現象を利用するタンデム型の複合素子を試作し,特性の評価を行った。現象解析のために光透過特性の時間分解測定を行った。光散乱現象は電場印加時には高速応答し,印加遮断時には比較的遅い応答を示すことが実験的に認められた。この現象を,前者は主として電場応答,後者は配向規制力にもとづく機械的な挙動であることを液晶配向の動的理論と対応して解析した。これにもとづき,不要なスメクチック液晶素子の過渡的透過光を消去するネマチック液晶の電場印加の最適条件を求め,推定通り透過光をほぼ完全に相殺すると共に,光減衰特性,偏波依存損失特性が満足すべき値を維持できることを確認できた。本研究の複合素子は極めて有効である。 4. 駆動電源系,評価光学系の整備: いずれも既設の装置系の部分改良を行い上記の実験に使用した。なお計画に示した新規電源系は,実験上液晶等関連材料が予定以上に多量に必要であったため,装置の改良にて実験実施することで対応し,製造発注を取りやめた。
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