研究概要 |
電磁界数値解析に移動境界問題を導入した数値解法を提案してきている。この手法はFDTD法と重合格子法を組み合わせた手法である。平成20年度にはガリレイ変換を考慮した場合に適用できる手法を提案し、理論値とのよい一致を見た。しかし、電磁界では光速に近い場合を取り扱うため、ローレンツ変換を考慮した数値解析法が必要とされている。そこで、平成21年度は重合格子法とFDTD法を用いることで、2つの慣性系を数値解析に導入することを考案し、ローレンツ変換をFDTD法に導入することを可能にした。また、移動速度によって2つの慣性系における時間格子、空間格子が時々刻々変動するが、重合格子法によって空間格子を補間し、時間格子にも補間を行うことでこの問題を解決できた。この結果、高速の場合にも適用できる電磁界数値解析法を確立でき、プラズマ内の電子の運動解析、光・マイクロ波デバイスの解析など広く応用できることが期待される。 これらの成果のうち、ローレンツ変換に関する成果は2009年10月に論文誌IEEJ Trans.FMに掲載されたほか、2009年8月のPIERS2009,11月の電磁界理論シンポジウムなどで発表した。この成果は学会で高く評価され、2009年9月の電子情報通信学会ソサエティ大会シンポジウム、2009年12月の電子情報通信学会マイクロ波シミュレータ研究会第1回公開研究会で招待公演を行った。また、従来から取り組んでいる応用として、可変機能デバイスへの応用に関する研究は、2009年9月に、論文誌MASAUM Journal of Basic and Applied Sciencedに掲載され、2009年6月のIEEEAPS2009で発表した。以上、述べたように、成果は国内外の学会で発表し、その独創性について高い評価を得ている。
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