研究課題/領域番号 |
20560354
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
大平 孝 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30395066)
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研究分担者 |
上原 秀幸 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00293754)
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キーワード | 電波ゆらぎ / 秘密鍵 / 空間相反定理 / 可変指向性アンテナ / プライバシ増幅 / 秘匿通信 / 盗聴耐性 / 直交偏波 |
研究概要 |
当年度は本方式の総合実験段階に入った。ハードウェアとしては前年度までに試作したスティックタイプのアンテナ内蔵無線送受信回路およびこれを装荷したノートパソコンを複数台セットで用いた。実験環境として、大学の電波暗室での実験に加えてオフィスの実環境条件で所望の鍵長を有する鍵生成共有ができるかどうか試験を行った。実験場所が異なると、電波の伝播状態や反射物のレイアウト、さらには人体などの動きが様々である。上りリンクと下りリンクのわずかな時間差の間に環境が変化する可能性もある。その場合は電波伝播の相反性が成立しなくなる。さらには、実際の生活環境においては電子レンジや他の無線機器からの電波干渉が発生することも考えられる。鍵の生成に失敗した場合は、基本的にはリトライの繰り返しをすることになり、実際問題としては成功するまでの時間がかかってしまうことが懸念される。そこで本実験では、あらゆる環境下においてリアルタイムに鍵生成に成功するために、アナログ量である電波ゆらぎをデジタル信号に変換する際の信号量子化および得られたデジタル信号から「鍵」を生成するための信号処理アルゴリズムに工夫を施した。具体的には、電波ゆらぎの統計的性質を把握し、量子化における閾値付近のゆらぎを削除するというアイデアを実験で実証した。これにより盗聴耐性を高めるプライバシ増幅が確認できた。さらに、正規局と盗聴局の相関の大きな要因が直接波伝播であることを発見し、これを抑圧する複数の手法を実証実験した。得られた成果を国内公開研究会や国際会議で発表した(招待講演を含む)。学会論文誌に投稿し採択掲載された。これら業績一覧を大学ホームページにてインタネット上に公開した。
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