研究概要 |
本研究課題では,大規模グループ鍵の更新手法に関する研究,自律分散グループ鍵に関する研究の二つの具体的課題を設定し,研究活動を行っている. このうち,大規模グループ鍵に関する平成20年度の研究では,鍵更新の際の効率悪化を長期にわたって抑制する方式の開発を行った.開発方式では,ユーザの集合とユーザに割り当てる鍵の関係を木構造により決定し,情報源符号化等でしばしば用いられるハフマン符号化アルゴリズムを用いることにより,木構造の断片化を抑制する方式を採用している.計算機実験により,提案手法が従来法に比して,どの程度の効率改善を実現するか評価を行った. 自律分散グループ鍵に関する研究では,とくに,ユーザの権限失効についての研究に注力して研究を行った.研究代表者が以前取り組んでいた時間限定鍵の概念を拡張し,これを時間制約のあるアクセス制御の実現に適用できないか検討を行った.時間限定鍵の利用によって,いったん発行した鍵の追跡管理が不要となるため,とくにユーザ数が多い場合,あるいは,ユーザとの通信が保証されない場合等,現実のサービスにおいてしばしば発生する局面において,当該アプローチが有効である旨の結論を得た.その一方,時間限定鍵の実現に必要となる要素技術の開発については,当該年度内に完了できていない部分が残っている.問題点を明確化し,今後の研究計画の中に適切に位置付けて継続検討を行う予定である.
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