研究概要 |
各分野個別の研究成果は以下の通りである。【画像処理】テクスチャを記述するための要素図形の推定のさい,これまでは要素図形が画像全体で1種類の場合のみを想定していた。今回,2つの要素図形が混在するテクスチャでもそれらを同時に推定する手法を開発した。【感性科学】モルフォロジカルな操作によって生成されたテクスチャに対する人の印象を調べることで,人間のテクスチャ認識において着目する特徴に関する知見を得た。とくに,視距離の変化に対する人の反応が距離変化の方向や先見知識に依存し,しかも性差もあることが見いだされた。【知識科学】束構造のデータベースにもとづく形式概念分析を利用したデータマイニング手法を開発した。また,モルフォロジを用いた脳波信号解析を行い,ブレイン・コンピュータ・インタフェースの手法として有望であることを見いだした。 さらに,これらの融合によるスマートインフォメディアシステムの研究成果として,以下のものがある。i)遺伝的アルゴリズムによる画像フィルタの自動最適化システムを開発した。この手法では,画像にノイズが含まれる場合でも,画像のもつ構造とノイズを見分けて,構造に最適化されたフィルタを得ることができる。ii)骨粗鬆症・動脈硬化をX線画像をもとに自動診断するシステムを開発した。この方法に,熟練した歯科放射線科医と同等以上の診断能力を達成した。また,これらの集大成として,代表者・分担者を含む共同研究者によって書籍「非線形画像・信号処理モルフォロジの基礎と応用」を出版した。
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