研究課題
研究3年目となる本年度は、これまで提案した相関法に対する残された課題である、精度的適用限界に関する考察と、その実現法に関する提案を行った。平成22年度の主な研究実績の概要は、以下のように2項目に要約される。1.相関計算における不連続性の改善DCT係数の正負符号を用いた相関法について、その具体的実行法及びその性質に関する理論的考察をこれまで行ってきた。本年度は、画像に代表される有限長信号に対して、信号端の不連続性が相関計算に与える影響について考察を行った。DCTの持つ信号の対称拡張性が、他の相関法に比べ不連続性の影響を軽減することを示した。それらの成果は、国際会議及び国内学会講演論文として発表された。2.相関計算の高速アルゴリズムの開発相関計算は一般に計算量が多く、かつ繰り返し実行される必要がある。そこで、高速フーリエ変換(FFT)に基づく高速アルゴリズムの研究開発を行った。まず整数ピクセル精度のマッチングに対して、基本アルゴリズムを提案した。次に、サブピクセル精度のマッチングに有効な高速アルゴリズムに拡張し、その有効性の評価を行った。これらの成果は、学会論文誌にそれぞれ掲載された。以上のように、マッチング精度向上に関する研究に加え、計算の効率化及び実際の処理実現の観点から、相関計算の高速化に関する研究を行ったものである。いずれも、ほぼ計画通り研究を進めることができ、成果を広く一般に公開することができた。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
LNCS Transactions on Data Hiding and Multimedia Security V
巻: vol.6010/2010 ページ: 51-69
IEICE Trans.Fundamentals
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電子情報通信学会 論文誌
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