大学等の研究・開発グループを中心とした超小型人工衛星の打上げが盛んに行われるようになってきた。ほとんどの衛星は静的あるいは動的に姿勢を制御しようとしている。超小型人工衛星には磁気センサやジャイロなどが搭載されており、衛星内部に蓄積したデータをダウンロードして解析することによって姿勢変化を知ることができるようになっているものが多い。しかし、いずれの衛星も低軌道であるために1回の通信可能な可視時間が10分程度であり、大量の姿勢データをダウンロードするにはかなりの日数を要する。そこで、衛星のアンテナの指向特性を利用して多地点同期受信電力測定による衛星姿勢推定を試みた。北海道工業大学では、2006年9月23日にJAXAのM-Vロケット7号機によって太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)のサブペイロードとして超小型人工衛星HIT-SATの打上げと運用に成功している。平成20年度は、北海道工業大学の地上局と赤平市内の地上局で受信実験を行った。HIT-SATの予備機を電波暗室内でさまざまな姿勢で回転させて指向特性データを取得した。実際に受信したHIT-SATの信号強度の変化と比較することにより高い精度で、HIT-SATの姿勢を推定できる可能性があることを明らかにした。また、2009年1月23日にJAXAのH-HAロケット15号機によって温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)のサブペイロードとして打ち上げられた、衛星本体の開発の技術協力をした東京都立産業技術高等専門学校の「KKS-1」をはじめとした超小型人工衛星の信号受信も行った。
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