冬季のLPDA(対数周期アレイアンテナ)の着雪実験(主に近傍電界への着雪影響の調査)を実施する計画であったが、計測装置の不具合によって測定データが十分に得られなかった。一方で、航空局側の要望が高いローカライザ前方の反射面自然大地に降雪した積雪の影響を解析できる進入コース特性のシミュレータ・ソフト開発の重要性が高まったため、大地の横断勾配、滑走路の縦断勾配変化とアスファルト誘電率、および大地上に横断方向で左右非対称に堆積した多層構造の積雪誘電率プロファイル等を考慮して反射波を扱い電界強度計算や進入コース(DDM特性)特性解析を行うプログラム開発(第一フェーズ)を行った。これによってGUIインターフェースを使ったデータ入力が可能となり、解析作業での利便性が高まった。本ソフトウエアは、放射電界計算に幾何光学理論を利用しており、近似関数で表された指向性を持つLPDA素子アンテナのアレイ合成から電界計算を行っているため近傍界の精度が十分といえず、モーメント法あるいはFDTD法で求めたエレメント電流分布からアレイアンテナ放射電界を求める必要がある。現在、FDTD法で得られた素子電流分布から放射界およびコース特性を計算する、より精度の高いアルゴリズムに改良中であり、さらに、昨年実施した着雪実験結果とFDTD解析結果の照合から、着雪効果を含めたエレメント電流分布の考察を進めることで、これをアルゴリズムに付加し、アンテナ着雪の影響を考慮した進入コース特性の解析が可能と考えている。また、UHF帯域における滑走路アスファルト誘電率測定用携帯型装置を本年度に開発し、従来の積雪誘電率測定装置と合わせて、シミュレーションで必要となる誘電率データのフィールドにおける計測が容易となった。
|