研究概要 |
従来の空中伝播する音響信号により情報伝達する音響モデム技術は、部屋の残響やスピーカおよびマイクロホンの周波数特性、携帯機器での実時間復号化を実現する処理の軽量化、背景雑音の影響などは全く検討されていない。本研究では、クロマチック音階のピッチによって情報表現される符号化方式をりあげ、符号化信号をスピーカ再生しマイクロホン受音する際に混合する残響や背景雑音の影響を定量的に評価した。また、復号化には第3世代携帯電話で用いられているCELP系のAMR音声符号化器が出力するピッチディレイ値を用いた。これは携帯電話における復号化処理を軽量化し、実時間復号化処理や情報呈示を可能にすることを目指しているためである。また、符号化時に使用する音高を和音の構成音とし、和音進行を前提とすることで、より音楽的な旋律によって情報伝達を行った。 コンピュータシミュレーション実験の結果,残響のある空間でのSNR 5dBの条件では,検出されるデータの平均エラー率は0.1を下回った.この手法により符号化された音は,旋律的というよりはランダム的である.しかし,符号化後の音高を和声理論に基づくコード構成音に限定し,適切なコード進行に基づいた音高に符号化することで,より音楽的な旋律によって情報を伝送することが可能になると考えられる
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