研究課題
計算機による複雑な計算から得られる結果に対して厳密な意味で精度を保証することは、益々重要になりつつある。この際、現実的な計算量(通常の計算の数倍以内の計算量)で精度保証することが望まれ、現在この問題に関する成果が、日本・ドイツを中心として着々と得られつつある。本研究課題も上記の問題に添った研究であり、平成20年度(研究の初年度)は、当初計画の通り、次の結果を得ることができた。1.受動線形抵抗及び直流電源からなる回路に対して、回路方程式を立てたり解いたりすることなく、回路構造の情報とごく簡単な計算により「事前誤差評価法」ができることを指摘するとともに具体的な計算法を提案した。ごく大雑把に述べると、「接地点と他の節点を結ぶ抵抗のコンダクタンスと節点同士のコンダクタンスの比だけ精度が落ちる」ということを示した。この結果を電子情報通信学会回路とシステム研究会などで発表した。2.極端にたちの悪い行列(条件数が10の20乗以上の行列)の生成は、上記の回路方程式を含む線形連立方程式の精度保証付き計算法の良さを評価するために必要である。この場合、生成される行列は任意の次元の多様な行列であることが望ましい。従来法として最も優れたRump法でも多様性の点が難点であった。本研究では、多様な行列の生成のため、Rump法を大幅に拡張して多くのパラメータを用いる悪条件行列の生成法を与え、国際ワークショップINVA2009等で発表を行った。
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Proceedings of N0LTA2008
ページ: 53-56
IEEE Transactions on Circuits and Systems-1 vol. 55, no. 11
ページ: 3607-3620
IEEE Transactions on Neural Networks vol. 19, no. 6
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