研究課題
本年度は以下の結果を得た。1.線形抵抗回路の精度保証付き計算に関して、抵抗値がすべて正、すなわち受動抵抗回路の場合については、一昨年度に、「回路の各節点と接地点の間に適当な大きさのコンダクタンスが接続されていれば」、回路方程式の解の真の解からのずれがあまり大きくならないことの定量的評価式を与えた。しかし上の仮定は非常に厳しいため、これが成り立たない場合の評価法の計算法をも与えた。このための計算量は大きく、また回路的な解釈も明確でなかった。本年度は、上の仮定よりもずっと妥当な仮定、すなわち、「回路の各節点がかなり大きなコンダクタンスで互いに接続されていれば、真の解からの誤差はあまり大きくならない」ことを定量的に示した。同時に、ある節点集合が他の節点集合と非常に小さなコンダクタンスでしか結合されていなければ、非常に大きな誤差が生じ得ることを定量的に示した。2.連立1次方程式に対する精度保証付き数値計算法の良さを比較・検証するには、極端に大きな条件数の行列Aの「できるだけ多数の多様な」生成が必要となる。この問題に関して、次の結果を得、専門の学術論文誌に投稿・掲載された。2.1Aの固有値の分布と条件数の間の関係について考察し、特に特異値が対数的に等間隔で並ぶ場合など、特異値の分布が一様な場合には、条件数はあまり大きくならないことを解析的に示した。。2.2大きな特異値がn-1個と小さな特異値が1個のn次行列の生成法を与えた。2.3対数的に等間隔に分布する特異値をもち、比較的大きな条件数をもつn次行列の新しい生成法を提案した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: vol.2 ページ: 226-245
Proceedings of Nonlinear Theory and Its Applications
巻: (CD-ROM) ページ: 18-21