研究概要 |
RFIDや無線LANなど,様々な移動通信システムが開発され,端末として用いられる移動通信機器には小形軽量であることと共にさらなる多機能化が望まれている.その技術的課題としては,一つの端末の異なる周波数帯への対応があげられ,端末に設ける小形アンテナの多周波共用化,広帯域化が必要となっている.本研究課題は多線条導体からなる多周波共用小形アンテナを取り上げ,多周波共用化の動作原理,設計手法について明らかにすること,移動通信用多周波共用小形アンテナの実現を目的としている.平成21年度は以下の取り組みを行い,その一部は成果として学会発表を行った. 1.従来の研究動向の調査,アンテナ検討:従来の多線条導体からなる折り返しアンテナなどの多周波共用,広帯域化が可能なアンテナについて調査すると共に,分布定数回路理論を基礎とするモード理論について調査,研究を進めた.そのモード理論をアンテナに適用し,多線条導体で構成することによる電流または電圧モードについて研究を行った. 2.理論検討と数値解析:多線条導体で構成する基本的なアンテナの例としてE形パッチアンテナを取り上げ,その動作原理,等価回路,理論的解析結果とシミュレーションとの比較検討を行った.結果として理論的解析を用いた等価回路によるインピーダンス特性とシミュレーション結果は比較的よく一致し,2周波共用,広帯域な特性を持つE形パッチアンテナの特性を明らかにすることができた.その結果については学会発表を行った. 3.アンテナモデルの検討:モード理論を適用し,さらなる多周波共用,広帯域化が可能なアンテナの構成法とその解析について検討を行った.
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