研究概要 |
RFIDや無線LANなど,様々な移動通信システムが開発され,端末として用いられる移動通信機器には小形軽量であると共にさらなる多機能化が望まれている。その技術的課題としては,一つの端末が複数の異なる周波数帯に対応することがあげられ,端末に設ける小形アンテナの多周波共用化,広帯域化が必要となっている.本研究課題は多線条導体からなる多周波共用小形アンテナを取り上げ,多周波共用化の動作原理,設計手法について明らかにすること,移動通信用多周波共用小形アンテナの実現を目的としている. 平成22年度は,これまでの成果をもとに(1)理論検討の進展,(2)試作実験,であり,(1)ではモード理論を具体化するとともにアンテナへの応用について整理,実践し,(2)については具体的な小形アンテナへのモード理論の適用を試み,多周波共用化または広帯域化を行うことをねらいとしていた.これらのねらいに対し,パッチアンテナについてモード理論を適用し,E形パッチアンテナの2周波共用化,広帯域化の原理解明について取り組み,それについて等価回路を用いた理論解析,試作実験を行った.結果として従来検討が不十分だった2周波共用化,広帯域化の原理についてモード理論を使って体系的に明らかにし,最適な設計手法を確立できた.これらを論文にまとめ,国際学会にて発表を行った. 上記の取り組みにより当初ねらいとしていた多線条導体からなる小形アンテナの多周波共用化または広帯域化についてモード理論を使った動作原理の説明が可能となり,小形アンテナの特性改善のための設計方針が明確となった.
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