屋内に多数(数十〜数百程度)のアンテナを設置することで統合された無線アクセスシステムを実現するための基礎検討として、以下の成果を得た。 1)Hotspotの生成とアンテナ配置法 一般的オフィスを想定してレートレース法で検討した。Hotspotは任意の点に生成可能でアンテナ数に比例して電界強度を向上できる。またD/Uとアンテナ数の関係を明らかにし、設計チャートを作成した。さらにアンテナ配置として等間隔配置ではシステム最大周波数の0.5波長間隔が必要であるが、壁際で間隔を狭くする不等間隔配置によりアンテナ数を削減できる。 2)キャリブレーションの検討 端末の位置、移動によるキャリブレーション精度/頻度をシミュレーションで検討した。端末移動による電界強度差を0.5dB以内とするには約0.25波長毎にキャリブレーションを行う必要があり、頻度はアンテナ数に比例する。ただし、端末とアンテナの距離に比例してキャリブレーション回数を設定することで、遠距離のアンテナキャリブレーション頻度を減らすことが出来る。 3)周波数可変アンテナの構成法 ダイポール、スパイラル、平行2線形の各アンテナについて、エレメント素子長と共振周波数の関係を計算/実験より明確にした。さらに、所望のシステム周波数に共振するアンテナ構造パラメータを確定する設計チャートを作成した。またリレースイッチを実アンテナに挿入して実験を行い周波数可変特性を確認したが、リレーを高周波インピーダンス素子として設計する必要があることがわかった。 4)システム構成法と設計法 情報源、変調器、周波数変換器、アンテナ、受信機等の一連の通信系を構成し、2アンテナで実伝送実験(第1次デモ)を行った。伝送特性を確認すると共に、SN特性や最重要技術である空間/アンテナフィルタの特性を実実験により明らかにした。この結果、非常に多数のアンテナ/装置が必要ではあるが、本システム実現の可能性を得た。
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