研究概要 |
本年は昨年開発した埋め込みアルゴリズムの改良と組み込みに向けた検討を行った.まず,埋め込みアルゴリズムの改良としては,埋め込み手法である符号グループ化法のチューニングを行い,より検出率の高い符号多重数およびその組み合わせについて検討した.多重数を高めることはできなかったものの,実験結果から埋め込みビット数を維持したまま,検出率を高めることに成功した.さらに,データ抽出アルゴリズムの改良としては,歪み補正に要する処理時間を短縮するために,1次元探索法を併用することによって,歪みパラメータの探索を高速化し,かつ処理量を低減できる手法について検討し,実験結果からそれを実証した.その他の歪みへの対応についてはさらに検討していく.もう一つの埋め込みアルゴリズムの改良として,補正用に画像に付けていた黒線による枠を省略する方法についても検討した.枠線は埋め込みの目印にもなるが,場合によっては視覚的に目障りになる場合もあるからである.枠線を用いずに補正するために,ここでは画像全体をいったんDFTによって周波数領域に変換し,そこに画像補正用のマーカを埋め込む方法を考案した.読み取り時に,このマーカを用いて幾何学変換を行うことにより画像補正を行う.この手法により,枠線がなくても画像補正を行える目処を立てることができた.さらに実験を増やすことにより検証を行っていきたいと考えている.最後に,DSPおよびJAVAによる実装については部分的にJAVAへの実装を行い処理量およびメモリ量の検討を行った.前述のようなアルゴリズム上の改良により,ある程度の高速化については達成可能であると考えられるが,携帯端末で利用することを考えると,まだメモリ使用量を大幅に削減する必要があり,この点が課題である.メモリ容量の件は次第に緩和されてくると考えられるが,何らかの過渡的な処置を検討していく予定である.
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