研究概要 |
21年度の目的は板状の試料にくさびを介して音波を導波せずに直接試料に音波を放射する実験を行った.実験では最初にTAPPと試料を結合した場合の分散曲線を計算し,TAPP内での音速(電気的特性の測定から算出)から分極角度θ_pを試料との臨界角に設定するためのデータを得た.次に臨界角とTAPPの振動特性から,板状試料内部での音波の伝搬が計算し,伝搬特性をFEM及びFDTD法で計算した.FDTD法による計算は,試料および振動子の境界条件を従来のFDTD法と異なった方法で設定した.この計算によってアルミ板中での音波伝搬が把握できるようになった.この結果,駆動直後から時間が経過とともに次第にLamb波が形成されていく様子が明らかになった.この計算では駆動の際の駆動力やその大きさを任意に変えることができ,これらと分散曲線の計算結果から,多重のモードが存在する場合の音波の伝搬を検討した.また,試料に段差などの欠陥を仮定した場合の検討も行なった. なお,FDTD法は現在のところ非線形の計算ができないため,FEMとの併用を行った.この解析法の妥当性を検証するために申請のシュリーレン装置を導入し,システムの構築を行ったが波動伝搬特性を可視化する実験までには至らなかった.次年度にはシステムを完成させ実験を行う予定である.
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