研究概要 |
本研究の目的は,薄板状の試料の探傷法が立ち後れている現状から,板状で分極軸が傾斜している傾斜型圧電振動子(TAPP)を新たに考案しこの特性を明らかにし,TAPPを用いた有限振幅超音波の送受波システムの構築を行うことにある.また,これを利用して今までに行われていない有限振幅を有する板波超音波を用いて対象物の構造や弾性等の物性の非線形性を検出から探傷を行い,バルク状試料の探傷との併用を実現することの二つに大別できる. 22年度はこの目的に沿って板波の送受波を行って,SOモードのLamb波が発生できることを実験によって確認した.また,駆動のパワーを大きくしていくと媒質の弾性的な非線形に起因する高調波が観測できた.この結果から本研究で提案したTAPPにより当初の目的通り有限振幅音波の発生が可能でありしかも振動子と試料の間にくさびが不要であるという利点が証明できた.これらの特性を利用してアルミ板に人工的な欠陥を設け,これを検出する実験を行って,欠陥からの高調波を検出できたことから本研究で提案のTAPPの有効性を確認することができた. 本研究の成果はこれまでに行われていない板波による探傷の分野に大きく貢献できるもので今後種々の試料,欠陥への適用を計りたい.
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