研究概要 |
・測定誤差発生要因の究明とその改善 測定精度の安定性を高めるために,測定誤差の発生要因として表面粗度に着目しこれが測定精度に与える影響を調べた.その結果,表面が粗くなるにしたがって応力測定誤差は大きくなることがわかった.逆に,Ry(最大粗さ)が1.0μm以下では応力測定誤差は10MPa以下であり,試料表面の平滑化を行うことで高精度な応力測定が可能であることがわかった.これを受けて,現場測定での探傷面の平滑を目的としたボール盤形ポータブル研磨装置を新たに開発した,この装置の有効性については今後の現場実験において検証する予定である. ・表面SH波による平面応力評価法の確立 これまで表面SH波音弾性で測定できるのは主応力差のみであった.もし主応力差の他に主応力和が計測できると,主応力そのものの値がわかり,鋼板材の平面応力状態を評価することが可能となる.そこで,表面SH波音弾性を用いた主応力和の測定について検討を行った.数学的な解析により,表面SH波を用いて主応力和を求めるには無負荷時の表面SH波の伝搬速度の値が必要であることがわかった.そのため表面異方性の測定値から無負荷時の表面SH波の伝搬速度を推定して主応力和を求める新たな手法を検討した.まず,T形表面SH波センサで計測した表面異方性の大きさと無負荷時の表面SH波の伝搬速度の相関を調べたところ,明確な相関関係があることを見出した.この相関を利用することによって実験により主応力和の計測が可能であることを示し,この提案手法の有効性を確認した.
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