研究概要 |
実時間に限りなく近く測定時間で,かつナノメートルオーダの振動変位を可視化できることが,圧電デバイスにおける温度変化に伴うスプリアスと主振動の結合状態を実験的に把握できる手段である.今年度実施た研究では,昨年度の本補助金で購入した高速高感度カメラ(Electron Multiplying Camera:画像取り込み等のソフト・シスケムは昨年度に開発済)を利用した温度可変測定システムを構築し,高速・高感度測定システムの特長を利用したシステム構築を行った.システム構築においては,デバイス周囲温度を可変しつつ実時間の測定を実現するため,小型可変温度槽の設計と組み上げ,温度変化に伴う共振周波数トラッキングシステムの構築,画像データ処理の高速化,を行い,ほぼ計画通りで計測システムの構築が行われた.実際に製作された温度槽は,室温から+70℃を超える領域で連続またはステップで温度を可変できるものである.なお,温度槽内に設置された被測定デバイスに対し,外部からレーザ光を照射し,さらにデバイス表面でのスペックル散乱光を検出するために,温度槽横面および上面に透明な窓を設け外部温度による影響を軽減するためこれら以外の部分いは断熱材を用いている.このシステムを利用し,水晶AT板の主厚みすべりモードのu1変位の温度特性を測定し,スプリアス振動との交差が無い場合には,常温付近と差が無い振動モードが得られることを実験的に検証することができた。この結果は,これまで光を利用した振動変位分布測定において困難とされてきた温度可変を実現したものであり,重要な研究成果であるといえる.これらの成果については,国際会議および国内学会で発表を行った.
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