研究概要 |
医療用の3次元形状計測などに適用する目的で,魚眼カメラの特長を活用した自由多視点ステレオ計測法の研究開発を行った.魚眼カメラを用いることによって,計測範囲と形状分解能に関する自由度が極めて大きく,かつ簡易な機材で,高精度,高分解能の3次元形状計測が実現できるものと期待できる.初年度である本年は,高精度化のために,内部パラメータ較正データの高精度取得法を中心に研究を進めた. 魚眼カメラは超広角であるため,通常の透視投影方式カメラと同じ較正法では十分な較正精度が得られない.そこで,筆者らは直線群を球面投影した場合に得られる性質を利用した新しい較正法を開発し,較正誤差を従来法の1/10程度に削減することに成功していたが,それでも通常のカメラに比べると3次元計測精度が不足していた.その原因は,広角の魚眼カメラは一般カメラに比べて一定視覚あたりの画素数が少なく分解能が低下し精度が低下することによる.そこで,分解能が低くても精度低下が抑制できるような較正手法が必要になる.筆者らは,サブピクセル精度の較正を可能にする手段として,輝度傾斜格子縞パターンを用いる較正法と,レンズの色収差の影響を排除するためにカラーサブプレーンごとに内部パラメータを得る手法を考案し,実験により評価を行った.その結果,これまでの球面投影較正法よりさらに50%程度精度を改善することができた.輝度傾斜格子縞パターンを用いる方法は,内部パラメータ較正時だけでなく,形状計測時に適用することによって,サブピクセル精度の形状計測を可能にするものと考えられ,理論的検討と実験準備を進めた.研究成果を電子情報通信学会総合大会などで発表した.
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