1、研究の目的: 光やMEMSセンサの特長を生かした無電源かつ絶縁機能を有する計測システムの基盤研究を実施する。この特長は、センサ部が小型なうえ電源供給や電池が不要となる。応用としては、本質安全で防爆を要する工業計測やビル管理、健康・医療計測、またこれらの多点計測システムが考えられる。 2、研究の成果: (1)光熱駆動・振動子共振型MEMSセンサ部、制御部、その間を接続する光ファイバで構成する基本概念を創出した。温度センサの構成例では、MEMSで構成した振動子の共振周波数が張力で変化し、その張力が温度により変化する原理である。所有しているシミュレーションソフトウエアを用いて共振子を備えた光熱駆動型MEMSセンサ部のシミュレーションを実施した。具体的には、センサ部の共振周波数の理論値と実測値を確認した。またレーザビームをセンサ部に照射した際の励振効果などを有限要素法で計算し確認した。 (2)制御部を設計し試作した。システムとしての動作確認は次年度の実施計画となっている。 (3)技術動向および社会ニーズについて、国際会議INSS (International Conference on Networked Sensing Systems)、ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)に参加して研究発表と調査を実施した。センサネットワークの具体的応用例の研究では、電源供給が大きな課題であった。また微小発電素子などのセンサネットワーク応用を想定した新しい要素技術の研究などが注目に値する。
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