研究概要 |
本研究は,建物火災やトンネル内火災などの高温の炎のもとでの車両や人体などの認識,降雨降雪下での遠景観測・冬山での遭難時の悪天候での人体などの認識,衣服の下に隠し持った武器・爆弾の検知等のセキュリティや防災の観点で,ストロボ機能(電磁波照射機能)と偏波分離機能を備えた可搬型高画質ミリ波カメラの開発を目的としている。 この目的を達成するために,今年度の研究では,まず,外部信号によって周波数コントロールが可能な源振を3逓倍し45GHz~50GHzの範囲で周波数掃引が可能な局部発振部を備えたヘテロダイン検波型ミリ波受信機のフロントエンド部にホーンアンテナを組み合わせた受信機を製作した. また,照射した電磁波が対象物に当たって反射してくる電磁波を識別するために設計した比帯域が10%のブランチライン型偏波分離器に関して,0dBブランチラインカプラの設計方法や高次モードでの伝搬を阻止する設計方法などの点について理論的検討を行ない,その詳細を論文にまとめた.電子情報通信学会和文論文誌Cに採録が決定している. また,装置の小型化を狙った高周波回路の回路理論的解析手法を2次元伝送平面の回路理論的な解析手法に進化・拡張させ,2次元伝送平面の周波数-振幅特性および周波数-位相特性を計算することに成功した.得られた計算結果は,実験的な実測値と一致した.この計算手法は,伝送線路ではない任意形状の伝送平面で構成される高周波受動回路に適用することができ,あらたな高周波受動デバイスの創出に大きく寄与するものと考える.
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