研究概要 |
「数値最適化に基づくロバスト非線形制御系の設計法の構築」を目的として研究を行い、以下の研究成果を得た。 (1)ゲインスケジュールド(GS)制御系の設計法:観測値であるスケジューリングパラメータの微分を行うことなくGS補償器を設計する方法に関する結果を発展させ、パラメータ値の属する集合が一般の凸集合である場合にもパラメータ依存LMIによる設計が可能であることを示した。この結果をまとめた論文はAutomaticaに採択された。また、スケジューリングパラメータに観測雑音が重畳する場合にも安定性が保たれるGS補償器の設計法を、確率微分方程式の枠組みのもとで導出した。 (2)非線形システムの解析と設計:密度関数を用いた非線形制御則の設計法を構築するために、区分的に滑らかなベクトル場を持つシステムの密度関数による安定条件を導出した。滑らかなベクトル場の場合は解軌道に沿う積分の変数変換の等式が可能であるが区分的にのみ滑らかな場合は不可能であるので、これを解決するために、解軌道に沿う積分の変数変換に相当する不等式を導出し、安定条件を証明した。この結果はIFAC 2011に採択された。 (3)制御系の解析・設計のためのロバスト半正定値計画問題の解法の開発:ロバスト半正定値計画問題を数値的に解くための上界緩和問題の厳密性の検証法として、不確かさのブロックが有理関数の形であるものを扱うアルゴリズムを構築した。この厳密性検証の方法をリアプノフ関数の探索時の基底の合理的な選択のために応用した。 以上の結果は,国内外の学会で発表し,また学術誌に論文として掲載された.
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