研究概要 |
複数工程からなる生産システムを適切に制御するためには,一つの工程が他の工程に影響を与えることを考慮して設計を行う必要がある.本研究では,このような観点から後続工程や後続ジョブ(後続の部品の加工)における生産資源の競合を制約条件として各工程の制御系設計を行う手法の開発を目指す.このような制御系設計は,工程間の関係性を表す離散変数と個々の工程の性能を表す連続変数が混在したハイブリッドシステムに対する制御系設計とみなすことができる.ハイブリッドシステム制御手法はこれまで発に研究が進められてきたが,動作モードを表す離散変数を含んだ微分方程式でモデル化されるシステムの制御問題として議論される場合が多く,複数工程からなる生産システムの設計に直接展開できるまでには至っていない.本研究では申請らによって提案さたmax-plus代数を用いた後続工程や後ジョブを考慮した最遅加工開始時刻の計算法を拡張することによって,各工程の動的な変化と工程全体の進捗状況とを両方を組み入れた新しいハイブリッドシステム制御手法を構築することを研究の目的とする.この課題に対して,平成21年度では下記の成果を得た. 1) max-plus代数を用いた後続工程や後続ジョブを考慮した最遅加工開始時刻の計算法を時間駆動型の計算式に変換し,各加工機械の実時間上の変動に応じて部品投入時刻をオンラインで修正できるようにした点. 2) 後続工程や後続ジョブを考慮した最遅加工開始時刻の計算法をより現実的な条件のもとで適用できるようにするため,中間部品を格納する内部バッファの容量を考慮できるようにした点. 3) 後続工程を考慮した最適制御問題として,鉄鋼生産おける熱間圧延プロセスのハイブリッド制御問題に対する高速解法を与えた点.
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