研究概要 |
時空システムはセルオートマトン,結合写像,結合微分方程式,編微分方程式などの数理モデルで表現される.本研究の目的は,興奮性媒体で代表される時空システムに生じる様々な非線形現象(スパイラル波,時空カオス,同期・クラスタリング等)の発生メカニズムならびに発生条件を詳細に調査し,これらの現象の抑制または制御する手法を,現実的な視点から提案することである. H20年度の実績:今年度は,主にセルオートマトンで記述される興奮正媒体の数理モデルに発生するスパイラル波に着目し,その現象を数値実験で観察した.さらに,スパイラル波を効率よく消去する制御法の提案・検証を行った.その結果,以下の結果が得られた. *興奮生媒体全体に単発のインパルスルを印加すると,インパルス振幅が大きいときにのみスパイラル波が消去される. *興奮正媒体全体に周期的なインパルスを印加すると,単発インパルスに較べ,比較的小さなインパルス振幅でスパイラル波が消去できる.ただし,この振幅はインパルス間隔に大きく依存する.間隔が小さいほど,低い振幅でスパイラル波が消去できる. *興奮正媒体に印加するインパルスのタイミングを,媒体全体の平均興奮度に依存(フィードバック)させると,単発インパルスに較べ,比較的小さなインパルス振幅でスパイラル波が消去できる.周期的なインパルス印加に較べ,この手法では,消去に必要なエネルギーが比較的低く抑えられている. 以上のような結果が数値実験で得られた.さらに,これらの成果を学会や国際シンポジウムで発表した.
|