研究概要 |
時空システムはセルオートマトン,結合写像,結合微分方程式,編微分方程式などの数理モデルで表現される.本研究の目的は,興奮性媒体で代表される時空システムに生じる様々な非線形現象(スパイラル波,時空カオス,同期・クラスタリング等)の発生メカニズムならびに発生条件を詳細に調査し,これらの現象の抑制または制御する手法を,現実的な視点から提案することである. H21年度の実績: 結合写像系に生じる時空カオス現象に着目し,その現象を効率よく消去する制御法の提案・検証を行い,以下の結果が得られた. * 分散型の遅延フィードバックは,結合トポロジーが不規則であっても時空カオスを消去することができる. * 分散型の遅延フィードバックのフィードバックゲインは,結合トポロジーを受けない系統的な手法で設計できる. * 凍結した時空パターンは,分散型の遅延フィードバックで安定化できない.ただし,不安定化用遅延フィードバックの追加や結合強度の変化によって,その凍結パターンを解凍させることで,定常状態に安定化できる. * 分散型の遅延フィードバックによって安定化された定常状態は,結合強度が強いほど,外乱に対してロバストである.したがって,安定化前は結合強度を弱め,安定化後は強める戦略が有効である. 上記の結果は,国際ジャーナルへの掲載が決定されている.さらに,1次元区分線形興奮性媒体に伝搬するパルス波を消去する制御入力について検討し,その設計手法の開発に目処がついた。現在,より詳細な検討を重ねている段階である.
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