研究課題
本研究では、フィードバック系を同定する部分空間同定法、および非線形システム、とくにWienerモデルの同定法の新しいアルゴリズムを開発することを目的とする。1. フィードバック系の同定法に関しては、直交分解法(ORT法)によってフィードバックシステムを「確定フィードバックサブシステム」と「確率フィードバックサブシステム」に分解して、それぞれを部分空間法によって同定し、さらにそれらを再結合するという方法を提案した。国際自動制御連盟の国際会議IFAC2008(ソウル、2008年7月)で口頭発表を行い、さらに修正したものを計測自動制御学会論文誌(英文)(2009年1月)に発表した。これにより、現存するフィードバック系の部分空間同定法とその性能においてほぼ匹敵するアルゴリズムを導いた。2. 線形動的システムの出力端に非線形要素が結合したWienerモデルの同定法に関する研究では、分離最小2乗法(separable least-squares method)を用いた効率のよい方法を提案した。非線形要素はLegendre多項式に基づく基底関数の線形結合で近似して、出力誤差規範を用いて同定問題を定式化した。さらに、データ依存局所座標系を用いた線形システムの同定と非線形要素を近似する係数を交互に同定する2段階法を提案して、システム制御情報学会確率システムシンポジウムSSS2008(京都市、2008年11月)で発表した。また次年度では、この方法をHammersteinモデルの同定問題に拡張するとともに、さらに一般的なWiener-Hammersteinモデルの同定に関する研究を行う。
すべて 2009 2008
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SICE Journal of Control, Measurement, And System Integration 2
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