研究課題
本研究では、フィードバック系を同定する部分空間同定法、および非線形システムの同定法の新しいアルゴリズムを開発することを目的とする。本年度の研究成果は以下の通りである。1)静的非線形要素が2つの動的線形要素で囲まれたWiener-Hamersteinという複雑な非線形システムを1つの線形システムと1つのHamersteinの結合に分割して、これらをDDLC(Data driven local coordinates)表現を用いて状態空間モデルとして表し、2つのシステムを交互に同定する新しい同定法を提案した。結果はIEACシステム同定シンポジウムSYSID 2009のベンチマークセッションで発表した。2)実現法に基づく部分空間同定法(Relization-based N4SID)における確率成分の同定は未解決のまま10年以上も放置されていた。ここでは、過去のデータ行列の行数(past horizon)を十分大きくとることで、PO-MOESP法で用いられるデータ行列にLQ分解を一回施すことにより、一般の確率システムの部分空間同定を行うことができることを証明し、さらにシミュレーションによってアルゴリズムの正しさを確認した。これにより、Realization-based N4SIDを完全なものにすることができた。3)次年度は非線形フィルタリングの研究も平行して行う予定である。
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Lecture Notes in Control & Information Sciences, Springer 398
ページ: 355-364