独自に開発した3次元剛体バネモデルを用いる時間依存型構造解析手法を高度な耐久性照査技術として利用するために、腐食ひび割れ解析と火害解析の実構造物への適用を主眼とした検討を行い、以下の結論を得た。 (1) 鉄筋腐食解析の実構造物への適用 実構造物への適用を考慮し寸法の大きな供試体の電食実験を行い、境界条件が腐食ひび割れ進展に及ぼす影響を実験的に検討した。一方解析的には、実構造物を想定した局所的な腐食や不連続な腐食の影響を開発した手法により評価した。さらに、開発した手法を鉄筋の腐食によりコンクリート片が落下した都市内高速道路に適用し、実際と同様の現象が再現できることを確認した。 (2) 火害解析の実構造物への適用 開発した手法により火災時の爆裂現象に及ぼす温度応力と蒸気圧応力の影響を検討し、スラブ部材では爆裂現象は蒸気圧が主要因であり、温度応力は爆裂発生を早期化させる影響があることを明らかにした。さらにトンネルの履工コンクリートはその形状から変形が拘束されているため、トンネルへの適用を想定し、変形が拘束された場合の解析を行い、トンネルのような境界条件下では温度応力が爆裂に対して主要因となる場合があることを明らかにした。
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