研究分担者 |
庄谷 征美 八戸工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80006684)
月永 洋一 八戸工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60124898)
陳 沛山 八戸工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90438432)
迫井 裕樹 八戸工業大学, 工学部, 助教 (30453294)
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研究概要 |
寒冷地におけるコンクリート構造物は,凍結融解作用による表層劣化と,それに伴う鉄筋腐食を引き起こす可能性が極めて高い環境下にあると言える.しかし,それら凍結融解作用を主要因とした材料劣化の程度が構造性能に及ぼす影響については殆ど明らかにされておらず,性能低下を考慮した合理的な設計,維持管理を実施するまでには至っていない. そこで本研究は,寒冷地における鉄筋コンクリート(以下,RC)構造物を対象とし,その劣化過程(進展期・加速期・劣化期)の材料劣化レベルと構造性能との関係を明らかにするものである.平成21年度は,引張鉄筋を腐食させたRC供試体の曲げ耐荷性能や凍結融解作用がコンクリート中への塩化物イオンの浸透に及ぼす影響について検討した。得られた結果の概要を以下に述べる. (1) RCはりの初期剛性については,健全供試体および目標腐食量を10%とした塩害供試体ともに大きな変化は確認されなかった. (2) 引張鉄筋の目標腐食量を10%とした塩害供試体の降伏荷重および最大荷重は,健全供試体と比較して10%程度低下する傾向にあることが分かった. (3) 目標腐食量が10%程度の範囲にある塩害供試体は,健全供試体と比較して最終の破壊形態がほぼ同じであることから,引張鉄筋に沿う腐食ひび割れは,曲げひび割れの誘発に大きく寄与しないものと考えられる. (4) 凍結融解作用を受けるコンクリート中の全塩化物イオンの拡散係数は,温度一定条件の場合と同様に,水セメント比が高いものほど,大きな値を示す傾向にあることが認められた. (5) 同一の凍結融解サイクル数における塩化物イオン拡散係数は,温度一定条件よりも凍結融解サイクルを実施したケースの方が大きい値を示す傾向にあることが把握された.
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