研究概要 |
平成22年度は,凍結融解作用による表層劣化を生じたコンクリート構造物の構造性能[進展期],表層劣化と鉄筋腐食の複合劣化を生じたコンクリート構造物の構造性能[加速期・劣化期]を評価した,これらは,RCはりの曲げ載荷試験により検討した.得られた結果の概要を以下に述べる. (1)引張側におけるスケーリング量の増加に伴い,最大荷重が低下することが確認された.電食を実施していないものにおいて,スケーリングが1kg/m^2程度では約10%,10kg/m^2程度以上で約30~50%程度最大荷重が低下することが確認された.鉄筋が腐食したRCはりについても,スケーリング量の増加に伴い,最大荷重が低下する傾向を示すことが認められた. (2)RCはりのスケーリング量の違いによらず,腐食減少率の増加に伴い,最大荷重が低下することが把握された.スケーリングが生じていないRCはりにおいて,腐食減少率が10%程度で約10%,腐食減少率40%程度以上で約30%程度,最大荷重が低下することが確認された.スケーリングが生じたRCはりにおける最大荷重と腐食減少率の関係は,スケーリングが生じていない場合と同様に,腐食減少率の増加に伴い,低い最大荷重を示すことが明らかとなった.凍結融解作用によるコンクリートの劣化が大きいものほど,鉄筋腐食による最大荷重の低下が大きいことが確認された. (3)スケーリング量が1kg/m^2程度の際の曲げ剛性は,スケーリングが発生していないものと同等であるものの,スケーリングが10kg/m^2程度以上生じたものは,55~70%程度曲げ剛性が低下することが確認された.これは,凍結融解作用によりコンクリートと鉄筋の付着強度が低下したことや圧縮側コンクリートの劣化によるものと考えられる. (4)凍結融解作用によるコンクリートの劣化を受けた供試体は,鉄筋腐食の増大に伴い,曲げ剛性も低下する傾向を示すことが明らかにされた.
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