実大の木橋と同程度の寸法の試験体1体に対する試験よりも、環境条件を変化させた試験体を多数試験する方が汎用性の高い成果が得られるとのアドバイスに鑑み、全長2mの方持ちはり式試験体を8体製作した。試験体は以下のような考えのもとで設計・製作した。 ・小さい試験体でも接合部に設計荷重を作用させるために方持ちはり式の試験体とした。 ・接合は引張側にM16ボルト1本とし、圧縮側は固定台と試験体端面を面接触させてめりこみ変形が生じないようにした。このことにより、試験体の変位は引張側のボルト付近の劣化のみにより生じることになる。 ・異等級対称のスギ集成材とし、ボルト孔付近にはジョイントや節を有しないものとする。試験体は木橋の架設実績とともに大学等の研究機関にも試験体を納入している鹿児島県の集成材メーカに製作を依頼する。 ・早期の劣化を期待するため加圧注入はしないが、表面劣化を防止するために防腐塗料を塗布する。 ・治具およびボルトには亜鉛メッキを施し、さびの影響を排除する。 ・試験体の自重と先端のおもりによりボルトに設計耐力が作用するように試験体長とおもりの重さを決める。 現在試験体と治具、固定台の製作が終わり、試験載荷も行って問題なく試験が実施できることを確認した。今後ただちに常時載荷試験を開始する。試験中は気温と湿度を常時測定するとともに、定期的に目視・打診・触診による簡易診断と、含水率、ピン打ち込み深さ、穿孔抵抗値測定の定量化診断を実施して劣化の進行状況を詳しく調べる予定である。
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